香港国際空港内新交通システム

1998年に開港した香港国際空港内には、2系統の新交通システム(シャトル)が運行している。一つは開港当初から営業している第1ターミナル内のWest Hall(西大堂)駅〜East Hall(東大堂)駅 間(2駅間)750mを結ぶ路線で全線複線(到着の客はWest Hall駅→East Hall駅、出発の客はEast Hall駅→West Hall駅の方向のみ乗車可能)。もう一つは2007年に開通した第2ターミナル駅〜East Hall駅 間(2駅間)430mを結ぶ路線で全線単線(乗客は第2ターミナル駅からEast Hall駅への片方向しか乗車することはできない)。いずれも車両基地含めて全区間が地下区間。運賃は無料(空港使用料に込み)で、飛行機に搭乗する客しか利用できない。West Hall駅〜East Hall駅 間の路線は三菱重工、第2ターミナル駅〜East Hall駅 間の路線はIHI(旧:石川島播磨重工業)が施工したAPM(Automated People Mover)と呼ばれるシステムで、無人運転を行っている。日本の新交通システムをベースとしており、ゴムタイヤ駆動・側方案内方式。車両はステンレス製車体で三相交流600V集電、最高運行速度は62km/hで、1次車が三菱重工製、2次車が新潟トランシス製である。1次車は青とグレーに塗装された車体でサイリスタ位相制御(装置は東洋電機製)、2両固定編成(1編成または2編成併結で運転)となっている。2次車は白と水色に塗装された車体でIGBT-VVVF制御(装置は三菱製)、4両固定編成である。車両のメンテナンスは香港鐵路(MTR)が担当している。今後、フェリーターミナル駅〜第2ターミナル駅 間(2駅間)750mを結ぶ第3の路線が開通予定。

香港国際空港公式サイト(中国語繁体字):http://www.hongkongairport.com/chi/index.html
香港国際空港公式サイト(英語):http://www.hongkongairport.com/eng/index.html

三菱重工ホームページ香港国際空港内新交通システム紹介ページ(PDF形式):http://www.mhi.co.jp/tech/pdf/346/346390.pdf
IHIホームページ香港国際空港内新交通システム紹介ページ(PDF形式):http://www.ihi.co.jp/ihi/file/technologygihou/10024_8.pdf
IHIホームページプレスリリース:http://www.ihi.co.jp/ihi/ihitopics/topics/2006/0209-1.html

West Hall(西大堂)駅で出発を待つ、East Hall(東大堂)行き列車。
三菱重工製の1次車。アルミ車体である。

West Hall駅にて
1次車の車内の様子。先頭部に5人掛けの座席が設置されている。
1次車は2両固定編成で、West Hall〜East Hall間の運用に就くときは2編成併結の4両で運転される。
新潟トランシス製の2次車。

East Hall駅にて
2次車はステンレス車体で、側面にビードがある。
2次車の車内の様子。前面の窓が1次車より小さくなり、その分座席の背もたれが拡大されている。
座席は先頭部以外設置されていない(中間車は貫通路横に1人掛けの席を設置)。
1次車(手前)と2次車(奥)の並び。
West Hall駅から引込み線(折り返し線)に引き上げる列車。窓がある部分が1階で、軌道とホームは地下1階に位置する。
ホームから搭乗口への通路まではエスカレーターまたはエレベーターで移動する。
新交通システムの線路の真上は搭乗口(20〜36番ゲート)となっている。動く歩道もあるため、新交通システムを利用しなくても移動することはできる。但し、新交通システムを使用すれば約1分20秒で到着するのに対し、動く歩道では同区間を移動するのに10分程度かかる。
2007年2月15日の第2ターミナル使用開始に伴い、第2ターミナル〜East Hall間を結ぶ路線が開通し、East Hall駅は専用のホームが新設された。写真はEast Hall駅で、左側が新設された第2ターミナルからの列車のホーム、右側がWest Hall行きの列車のホームである。
第2ターミナル〜East Hall間の列車は終日2両編成で運転されている。乗客は第2ターミナル駅からEast Hall駅への片方向しか乗車することはできない。なお、第2ターミナルの出国検査場は午前8時に開く。

East Hallにて

香港国際空港APM 2次車前面展望(East Hall→West Hall)全区間地下。所要時間は1分20秒。本ファイルでは途中区間を4倍速で短縮した。
香港国際空港APM 1次車走行音(West Hall→East Hall)サイリスタ位相制御。装置は東洋電機製。加速度は3.5km/h/s。
香港国際空港APM 2次車走行音(East Hall→West Hall)IGBT-VVVF制御で、装置は三菱製である。加速度は同様に3.5km/h/s。

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