ブエノスアイレス地下鉄 H線
Subte de Buenos Aires - Linea H / Buenos Aires Metro Line H


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ブエノスアイレス地下鉄H線はLas Heras(ラスヘラス)〜Hospitales(オスピタレス)間11駅7.2kmを結ぶ路線である。全区間地下。全区間複線(左側通行)で、架線集電方式による直流1,500V電化。軌間は1,435mm(標準軌)。車両基地はCaseros駅の南側にあるCochera-Taller Colonia(Colonia基地)と、Parque Patricios〜Hospitales間にあるTaller y cochera Parque Patricios(Parque Patricios基地)の2箇所で、いずれも地下にある。

1944年に開通したE線から63年ぶりの新線として開通した路線である。2007年10月18日にOnce〜Caseros間、2010年12月6日にCorrientes〜Once間、2011年10月4日にCaseros〜Parque Patricios間、2013年5月27日にParque Patricios〜Hospitales間、2015年12月18日にLas Heras〜Corrientes間が開通した(Santa Fe駅は2016年7月12日に開業)。

列車は6両編成で運行される。車両はAlstom製のSerie 300で、2015年よりブラジルのSão Paulo(サンパウロ)のAlstomの車両工場で製作された。2016年7月より営業運転を開始し、旧型車を一掃した。4M2T(Rca-Ma-Mb-Mc-Md-Rcb、R=付随車(スペイン語でRemolque))のIGBT-VVVF制御車である。2019年までにH線向けに20編成が導入される予定である。なお、同型車はD線にも2017年より導入されている。

2016年6月まではSiemens O&K(Siemens-Schuckert Orenstein & Koppel)製の車両が使用されていた。「Siemens O&K」は1934年〜1944年にかけて86両導入。吊り掛け駆動の抵抗制御車で、2016年までブエノスアイレスの現役の営業用車両としては最も古い車両であった。当初はC線・D線・E線向けに製造され、2016年までH線で活躍した車両はC線から2007年に転属してきた車両である。D線に新車の「Serie 100」を導入したことで、それまでD線でも一部が活躍していた「Nagoya」(名古屋市交通局の車両)をC線に集中配置し、その玉突きで余剰となったC線のSiemens O&K製の車両をH線の開業に合わせて転属、という流れである。2015年6月時点では、4両編成7本(28両)と車体更新車の5両編成1本(5両)の計33両が運行されていた。

2016年6月27日〜同年7月3日にかけてH線全区間を運休し、車両をSiemens O&K製からSerie 300に一斉に置き換えた。また、同時にH線の保安装置をCBTCに変更した。

現在、路線の両側で延伸工事が行われており、最終的にLas Herasから先はRetiroまで、Hospitalesから先はNueva Pompeyaまで延伸される予定である。

(路線図:管理人制作)

2016年7月より一斉に運行を開始したSerie 300。D線のSerie 100に次ぐAlstom製の車両である。車体は軽量ステンレス製(先頭部はFRP)。自社発注車としてはA線のSerie 200に次いで、新製時より冷房付きの車両である。IGBT-VVVF制御。運転状況記録装置、車内防犯カメラ等の最新機器も備えている。

Santa Feにて
Siemens O&K製車両の時代は4〜5両編成で運行されていたのに対し、Serie 300は6両編成となり、輸送力が増強された。定員は6両編成で約1,500名(うち着席定員は270名)。

Caserosにて
近代的なH線の駅とマッチしているSerie 300。

Santa Feにて
2号車(Ma車)及び5号車(Md車)に搭載されているパンタグラフ。小型のシングルアーム式のものを採用。
Serie 300の車内の様子。4扉車で、扉間は5人掛け。照明はLED。
座席はFRP製で、座面・背もたれ部にモケットが貼られている。
ドア上には千鳥配置でマップ式案内表示機が設置され、既に走行した区間を赤色、これから走行する区間を緑色のLEDで表示する。
貫通路。貫通路の上には防犯カメラが設置されている。
各車端部は車椅子スペースとなっている。
貫通路の上にはLED式案内表示器及び防犯カメラが設置されている。
車端部のAlstomの製造銘板(上:2015年製、下:2016年製)。
乗務員室仕切り。窓はなく、前面展望不可能。
製造初年1934年の古豪、「Siemens O&K」。開業時に新車導入の資金が確保できなかったことから、C線からの余剰車で対応することになった。このため、2016年にSerie 300に置き換えられるまで、H線はブエノスアイレス地下鉄最新の路線(2007年開通)であるにもかかかわらず、車両はブエノスアイレス地下鉄最古という組み合わせとなった。

Humberto Iにて
Once駅に停車中の「Siemens O&K」。4扉車で、Tc-Mc+Mc-Tcの4両(2+2両)編成。
省エネのため、2013年より車内照明の白熱灯から蛍光灯への交換工事が行われた。但し、施工は一部の車両に留まった。
「Siemens O&K」の車内の様子。ドア付近は1人掛けのロングシート、中央はクロスシートが配置されている。奇しくも台北捷運の車両の座席配置に似ている。車内照明は白熱灯で、写真のように一部が蛍光灯に交換されている車両もある。
車内照明が白熱灯のままの車両。駅は最新設備であるが、車内はまるで車両導入時の1930年代のような雰囲気。吊り掛け駆動の音を響かせながら駅を発車すると、このまま現代から過去にタイムスリップしてしまいそうだ。
混雑対策でオールロングシートに改造された車両もある。
車内の路線図。沿線の道路の名称が路線図上部に書かれているのがブエノスアイレス地下鉄の路線図の特徴。
編成中間に挟まれた車両の運転台は折り畳まれ、客室スペースとなっている。
「Siemens O&K」では車掌はドア操作を乗務員室からではなく客室内から行っていた。発車時は先に他のドアを閉めてから安全確認を行い、最後に自分がいるところのドアを閉める(同様の例は台鐵や名鉄等でも見られるが、地下鉄で行っている例は世界的にも少ない。なお、「Siemens O&K」引退後も、E線のGEEでは引き続き行われている)。
2013年に登場した「Siemens O&K」の車体更新車。製造後70〜80年近く経っていたものの大規模修繕を受け、まるで新車のように若返った。車体は載せ替えではなく、元の構体を生かしている。前面デザインは一新され、非貫通仕様になった。車内は送風機が設置された(冷房は設置されていない)。
車両計画変更により当初計画よりも更新車両数が減少(途中で打ち切り)となり、一部は更新工事途中で放棄されてしまった車両もある。

Hospitalesにて
中間車。ドアも窓が大きいものに交換され、内装一式も新品に交換されている。貫通路も幌が設置され、常時通り抜けが出来るようになった(未更新車は通り抜け不可)。まるで新車のようだが、ウィンドウシル(窓下の補強板)があるところに僅かながら種車の面影が残る。
台車は更新されていない。また、制御装置など床下機器も種車のものをほぼそのまま使用している。そのため見た目は新車だが、走り出すと吊り掛け駆動の唸りが聞こえる。
未更新車(左)と更新車(右)の並び。言われなければ同形式と気づかない程である。

Hospitalesにて
2010年に開業したCorrientes駅。天井が非常に高く、近未来的である。その下で発車を待つのは80歳超のレトロ電車。
Once駅に発着する上下線の列車。
Once駅の駅名標。
駅の照明は「H」をイメージした洒落た飾りが入っている。
H線のエスカレーターは日本のフジテック製が多く採用されている。
駅の電気系統トラブルのためOnce駅で立ち往生する列車。前照灯をつけた前面が闇に浮かび上がる。
Cochera-Taller Colonia(Colonia基地)が隣接する、Caseros駅に入線するSerie 300。
Caseros駅のホーム端から見た、Cochera-Taller Colonia(Colonia基地)の様子。
現在の南西側の終点のHospitales駅。さらに当駅からの延伸工事が進められているが、線路終端部の先のトンネルは完全にブロックされている。
Còrdoba駅で離合するSerie 300。当駅を含むLas Heras〜Corrientes間は2015年12月18日に延伸開通した。
2016年7月12日に開業したSanta Fe駅。アーチ状の屋根となっている。当駅ではD線と接続。
Las Heras駅。2018年に当駅よりFacultad de Derecho駅まで延伸開通予定。
2016年7月よりH線で営業運転を開始したSerie 300(300型)。2016年7月以降、H線は全車両がSerie 300で統一。ブラジル・サンパウロのALSTOMで製造された、ブエノスアイレス地下鉄最新の自社発注車両である。

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ALSTOM製IGBT-VVVF制御車特有の、GTO-VVVF制御のような磁励音を響かせる。H線は旧型車時代は主に4両編成で運転されていたが、Serie 300は6両編成である。

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4駅間の車内の様子。ドアが閉まる前に発車チャイムが鳴る。ドア上にマップ式案内装置、貫通路上にLED式案内表示器がある。IGBT-VVVF制御で、制御装置はALSTOM製。

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製造初年1934年。2016年に引退するまで82年間活躍したSiemens O&K製車両。吊り掛け駆動の音を響かせて発車していく。

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2007年開業のブエノスアイレス地下鉄最新の路線で走る、製造初年1934年の古豪車両。

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2駅間の車内の様子。白熱灯照明のレトロな内装と床下から響く吊り掛け駆動の音。21世紀とは思えない車内の空気と、最新設備の駅の風景のギャップが面白い。

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一部の車両はロングシートに改造されている。乗客もまばらになった夜、吊り掛け駆動の音を響かせて終着駅に向けて走る。

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H線の駅の出入口
円形の「Subte」マークの色は、ラインカラーに合わせてある。

Onceにて

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