ブエノスアイレス地下鉄 E線
Subte de Buenos Aires - Linea E / Buenos Aires Metro Line E


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ブエノスアイレス地下鉄E線はBolívar(ボリバル)〜Plaza de los Virreyes(プラーサ・デ・ロス・ヴィレジェス)間15駅9.6kmを結ぶ路線である。全区間地下。全区間複線(左側通行)で、架線集電方式による直流1,500V電化。軌間は1,435mm(標準軌)。車両基地はかつてのSan José駅とConstitución駅跡地を改装したTaller San José(San José基地)とTaller Constitución(Constitución基地)の2箇所で、地下にある(いずれもC線と共用、詳細後述)。

E線は延伸の過程でルートが変更された路線である。当初は、Constitución〜General Urquiza間を結ぶ路線として1944年6月20日に開通し、同年12月16日にはBoedo仮駅まで延伸開通した。しかしながら、路線網の利便性を考慮して起点をConstitución駅からBolívar駅に変更することが後に決定され、1957年から着工された。この変更により、Entre Ríos-Rodolfo Walsh駅から分岐してBolívar駅に至る新線が建設され、代わりにConstitución〜Entre Ríos-Rodolfo Walsh間にあったConstitución駅とSan José旧駅は廃止されることになった(San José駅は新線区間に移設)。1966年4月24日にBolívar〜San José新駅〜Entre Ríos-Rodolfo Walsh間が開通し、ルート変更が完了した。
一方、西側への延伸も順次行われた。1960年7月9日にBoedo駅が仮駅から常設駅に移動(0.2km延伸)し、その後1966年4月24日(Bolívarまでの延伸開通と同日)にBoedo〜Avenida La Plata間、1973年7月23日にAvenida La Plata〜José María Moreno間、1985年10月7日にJosé María Moreno〜Emilio Mitre間、1985年10月31日にEmilio Mitre〜Varela間、1986年5月8日にVarela〜Plaza de los Virreyes間が開通した。
現在、旧ルート上のConstitución駅とSan José旧駅は跡地をE線及びC線の車両基地・工場として改装し、ルートも出入庫線として使用している。Entre Ríos-Rodolfo Walsh駅からBolívar行きの列車に乗ると、車窓からSan José旧駅(現:Taller San José)を確認することが出来る(旧線と新線の分岐地点は、現在も旧線側が直進で、現ルートが分岐側となっている)。

列車は終日4両編成で運転される。各編成はアルファベットによる編成記号で管理されており、記号は先頭車両の前面窓や側面戸袋部に掲げられている。
車両はGEE (General Eléctrica Española)製の車両が使用されている。GEE は吊り掛け駆動の抵抗制御車で、1964年〜1966年にかけて64両が導入された(UM(Mc)+UR(Tc)の2両固定編成で、2両編成を2本繋いで4両編成(UM-UR+UR-UM)としている)。一部編成は2014年より車体更新が行われている(当初は全編成を順次更新する予定であったが、後に中止された)。なお、1980年代にはFiat Diesel Materfer・Fabricaciones Militares製の車両(現地での呼称は「Fiat-Materfer」)も運行されたことがある(現在はD線・A線で運行)

現在、BolívarからRetiroまでの延伸工事が行われている。

(路線図:管理人制作)

E線で活躍するGEE。同形式はE線のみで運行されている。1964年〜1966年製ながら吊り掛け駆動である。

Jujuyにて
窓下の灰色の帯に白線がなく、側面にMetrovíasのロゴが入る旧塗装。現在はすべて上写真のSubteの新ロゴが帯に入ったものに変更されており、現存しない。

Jujuyにて
Independencia駅に停車中のGEE。
GEEの車内の様子。クロスシートが配置されている(一部車両はロングシート化改造を施工)。車内照明は白熱灯が1列に並び、レトロな雰囲気。
車内の路線図。沿線の道路の名称が路線図上部に書かれているのがブエノスアイレス地下鉄の路線図の特徴。
乗務員室仕切り。窓は設けられていない。
編成中間に挟まれた車両の運転台は折り畳まれ、客室スペースとなっている。
運転台。左手側がマスコン、右手側がブレーキ。
2014年に車体更新を受けたF編成(UM16-UR16+UR25-UM25)。前照灯や室内灯のLED化や内装の更新、車体の再塗装等が行われた。床下機器は大きな変化はなく、吊り掛け駆動・抵抗制御のままである。

Jujuyにて
車体更新車の車内の様子。室内灯がLEDに変更され、床敷物も更新されている。
車体更新車のLED照明。
Bolívar駅。楕円形のトンネルの下に1面2線の島式ホームが配置されている。紺色に塗られたトンネル壁と、カラフルな側面のパネルが特徴。
Independencia駅のホームの様子。1面2線の島式ホーム。
当駅はC線との乗換駅。他のブエノスアイレス地下鉄の駅は乗換駅でも路線ごとに駅名が異なるが、当駅だけはE線もC線も「Independencia」駅で統一されている。
Independencia駅構内にはガラス張りのモニタリングセンターがある。
H線との乗換駅のJujuy(フフイ)駅。E線で最初期に開通した区間で、1944年6月20日に開業。
Jujuy駅のホームの壁にはアート作品も描かれている。
Emilio Mitre駅で現役の木製エスカレーター。開業時からのものと思われる木製エスカレーターが残っている駅も点在する。
西側の終点のPlaza de los Virreyes駅。P線(Premetro)との乗換駅で、ホームの階段を上がるとすぐにP線に乗り換えることが出来る。E線のホームは浅い位置にある。
Plaza de los Virreyes駅の先端からBolívar方面を望む。
2014年に前照灯や室内灯のLED化や内装の更新等の大規模修繕を受けたF編成。足回りは更新されていないため、豪快な吊り掛け駆動の音が駅ホームやトンネル内に響く。

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ブレーキ音を響かせながらJujuy駅に入線するGEE車両。

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2駅間の車内の様子。乗務員扉が左側にしかついていないため、始発駅では乗務員は客室側から乗務員室に出入りする。1964年〜1966年製ながら吊り掛け駆動である。

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1駅間の車内の様子。中間車の運転台は半分に折り畳まれており、そのスペースに設けられた座席より撮影。

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1駅間の車内の様子。吊り掛け駆動の音がトンネル内にこだまする。

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1駅間の車内の様子。吊り掛け駆動で、車内照明は白熱灯というレトロな雰囲気。貫通路は非常時以外使用不可。

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Emilio Mitre駅で稼働している木製エスカレーター。ブエノスアイレス地下鉄ではE線等のいくつかの駅で木製エスカレーターが現役である。

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B線の駅の出入口(旧タイプ)
円形の「Subte」マークの色は、ラインカラーに合わせられていた。
2015年より下写真のものに順次更新され、現存しない。

Independenciaにて
B線の駅の出入口(現行タイプ)
「Subte」のマークが2015年頃より順次更新された。
「Subte」の文字が現行ロゴのものに合わせたものとなり、
色は路線にかかわらず黄色に統一された。
マークの下に路線記号が表示されている。
また、従来は出入口の看板が門状に設置されていたが、
現行タイプのものは1本の柱で自立するものとなった(一部駅で例外あり)。

Emilio Mitreにて

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