ブエノスアイレス地下鉄 元 名古屋市交通局1200形

Tweet

名古屋市交通局1200形は名古屋市営地下鉄名城線向けに1974年に14両(7編成分)が製造された。製造会社は日本車両・日立製作所。車両寸法は長さ15,580mm×幅2,508mm×高さ3,370mm。車体は鋼製。抵抗制御。中間に同時に製造した中間車の1800形・1900形を組んで5両編成とし、6両編成化の際には1100形の中間に組み込まれていた1600形・1700形(1971年・1974年製)を1両組み込んだ。

後継の2000形の導入に伴い、2000年までに全車両が引退した。このうち、1205H・1207H・1211H・1213Hの4編成24両がブエノスアイレス地下鉄に譲渡された。

ブエノスアイレスへの導入にあたって、輸出前に大阪車輌工業にて大規模な改造工事を行った。改造箇所はパンタグラフの設置及び台車の集電靴の撤去(名古屋時代は直流600Vの第三軌条集電方式だが、ブエノスアイレスは直流1,500Vの架線集電方式)、制御方式の抵抗制御からIGBT-VVVF制御への更新(新設されたVVVF制御装置は東洋電機製)、MT比の変更(6M0T→4M2T)、3・4両目への簡易運転台の設置及び貫通路への開き戸の設置(非常時を除いて、3・4号車の間は行き来が出来なくなった)等である。改造の様子が大阪車輌工業の公式サイトに掲載されており、塗装変更も同社にて行ったようだ。現地では名古屋市交通局からの各中古車両をまとめて「Nagoya」(スペイン語で「ナゴシャ」)と呼んでいる。

関連ページ:「ブエノスアイレス地下鉄 C線」

名古屋市営地下鉄名城線・4号線(現:名港線)出身の1200形。300形と基本設計は同一だが、前面貫通扉の上に行先表示器がある。ブエノスアイレスではステッカーで行先を掲示。

Diagonal Norteにて
1200形の車内。250形・300形と基本構造は同一だが、袖仕切りがスタンションポールと一体型になっている。
1200形の中間車の1800形の車両番号表記。「禁煙」のプレートも車両によっては残っている。
1200形の更新車の車内の様子。照明がLEDに交換され、かつ壁際から中央寄りに移動したため明るい印象となった。座席のモケットや床敷物の新品への交換、つり革の交換(元と同様の丸型だが、輪の部分が固定されている)、出入口付近へのスタンションポールの増設、壁の再塗装等が行われ、まるで新車のようである。新品に交換されたものも、配色は従来のものと極力合わせてある。
C線はカーブが多く揺れが大きいため、ドア付近は手すりが増設された。
平日朝ラッシュ時のC線の様子。都心へ向かうRetiro行きは満員である。1200形G編成はブエノスアイレスで車内更新が施された。

Full HD Video
2駅間の車内の様子。制御装置はブエノスアイレス譲渡時に大阪車輌工業にて東洋電機製IGBT-VVVFに換装された。車内の色調は名古屋市営地下鉄時代と変わりない。1200形は300形・700形(250形)と比較して、袖仕切り部に縦方向のポールがある点が異なる。

Full HD Video

■編成別写真
C編成。
名古屋市交通局時代は「1211H」。
1211-1811-1906-1710-1812-1212

Diagonal Norteにて
F編成。
名古屋市交通局時代は「1205H」。
1205-1805-1903-1616-1806-1206

Diagonal Norteにて
G編成。
名古屋市交通局時代は「1213H」。
1213-1813-1907-1704-1814-1214

San Juanにて
M編成。
名古屋市交通局時代は「1207H」。
1207-1807-1904-1618-1808-1208

San Juanにて

■日本で活躍する1200形
高松琴平電気鉄道(琴電)600形として活躍する、元 名古屋市交通局の「黄電」。琴電600形は名市交250形からの改造だけでなく、数多くの中間車が琴電譲渡時に先頭車化改造された(外観は250形も先頭車化改造車もほぼ同一)。
写真は600形の611-612(旧塗装時代。現在は631-632に改番)で、1800形からの先頭車化改造車。

集電方式の変更(集電靴→パンタグラフ)、冷房化等の改造が施された。内装は全車両とも琴電仕様に大規模更新され、面影はほとんど残っていない。
黄電の譲渡車は、日本国内向け・ブエノスアイレス向け含め、全て架線集電方式に改造されたことになる。
琴電600形603-604(現行塗装)。
1600形・1900形からの先頭車化改造車。
琴電700形。名古屋市交通局時代から先頭車のものを活用したもので、2編成しか存在しない(300形・1200形各1本を改造)。
写真は721-722(旧塗装)で、1200形からの改造車(前面貫通路上の行先表示器の有無が種車の識別点。300形からの改造車(701-702)は助士席側に行先表示器を後付け)。
福井鉄道には元名城線の1100形・1200形が譲渡された。パンタグラフの設置・3扉→2扉化・収納式ドアステップの設置・冷房化・台車の交換・ワンマン運転対応改造・排障器の設置・前面窓の小型化等が施された。
写真は610形(旧塗装)で、1M1Tの2両固定編成。1両は電装解除されている。1編成のみの存在。
610形の現行塗装。
610形の車内の様子。網棚がない車内やスタンションポール付きの袖仕切り、座席のモケットの色等に1200形の面影はあるが、それ以外は改造により大きく印象が変わった。
「黄電」で譲渡された車両のうち、原形に最も近い内装を保っているのはブエノスアイレス地下鉄への譲渡車である。
両運転台車の600形。2両が導入されたが、現在は1両(モハ602)のみ。現在は専らイベント専用車として運行されている。

関連ページ:「ブエノスアイレス地下鉄 C線」

「ブエノスアイレス地下鉄−日本・スペインからの譲渡車両」に戻る

Tweet